とてもかわいいイラストで描かれたおばけが印象的な表紙の絵本。
内容は大人が読んでも響くものがあるほどメッセージ性の高い作品です。
幼児向けのわかりやすい絵本というよりは、小学校低学年から、または絵本の読み聞かせでお話を読んであげるのにいいのではないでしょうか。
最近では、各学校、幼稚園で絵本の読み聞かせが実施されていて、保護者が読み聞かせを行うところも多いと思います。
何を読んであげればよいか迷うこともあるでしょう。
そんな時におススメしたい作品でもあります。
単純に楽しいお話もいいですが、何か心に残ったり、みんなで考えることにつながる作品です。
少し難しい内容にも思いますが、イラストは柔らかく描かれており、ケーキ屋さんという設定にもあるように数多くのケーキも登場し、見た目も可愛いので子供たちもすんなり物語の世界に入っていける作品です。
おばけのケーキ屋さんの登場人物!
おばけのケーキ屋さんの登場人物はシンプルで、主人公はおばけ。
男の子のような可愛い口調でとてもキュート。
胸の蝶ネクタイがチャームポイントです。
そして、女の子の小鳥さんが登場します。
彼女は女の子で、はじめはかわいい顔とは裏腹に少し不愛想な印象です。
おばけのケーキ屋さんのあらすじについて!
主人公のお化けは、ただ人を驚かせるのではなく、おいしいケーキを食べさせて、そのおいしさにびっくりさせることをしています。
物語は、女の子がお化けのケーキ屋さんへやってくるところから始まります。
お化けのケーキ屋さんは日が沈んでから明け方まで開いているお店。
こんな時間にお化けじゃないお客さんは珍しいと思いながらも、ケーキ屋さんは自慢のケーキを出します。
しかし、女の子はびっくりしません。
それどころか自分のパパが作るケーキほどのおいしさだと言うのです。
お化けは怒って、その日から月に一回女の子にケーキを食べに来るように言います。
しかし何度ケーキを食べさせても、自分のパパが作るケーキと同じくらいおいしいと言うのです。
そんなある日、女の子は結婚して遠くに引っ越すので、今日がお店に来る最後の日だと言ってお別れを告げます。
お化けは最後にとびきりおいしいケーキを彼女にプレゼントするために大急ぎでケーキを作り、結婚式の会場へもっていきます。
しかし朝日を浴びておばけは消えてしまいます。
結婚式でそのケーキはみんなにふるまわれることになり、そのケーキを口にした女の子は…
おばけのケーキ屋さんの感想について
物語の始まりは少しコミカルなタッチで、自慢のケーキのおいしさにびっくりすると思っていたおばけが、女の子の意外な反応に激怒するシーンは、少し怖い位に怒って見せるのですが、どうしても自分のケーキを食べてそのおいしさにびっくりさせたいおばけは、これから毎月ケーキを食べに来るように頼むんです。
この場面にはおばけの自信たっぷりなところと負けず嫌いな性格が出ているなと感じました。
女の子は、少し冷めた感じの印象なのですが、お化けに頼み込まれてケーキを食べに来ることを承諾します。
その場面では、実は、彼女自身も居場所を求めていたのかもしれないと感じさせられます。
それからの日々は、二人にとってとても充実した時間になったのでしょう。
おばけは、おいしいとびっくりさせるために、何度も彼女にお店に来るようにいい、何種類ものケーキを食べさせます。
少しの時間でも一緒に過ごして話をしたり、時に一緒にケーキを作ったりする中で、本来の目的以外に何か意味を見出していたのではないかとも感じました。
お互いに一緒に過ごす時間が、いつの間にかとても大事な時間になっていたんですね。
そんな日々がずっと続くと思ていた矢先、女の子が遠くへ行ってしまいます。
女の子は何時しか立派な大人の女性になっていたんです。
もう女の子にケーキを食べさせることができないと分かったおばけが、最後にとびっきりのケーキをプレゼントしようと奮闘することろは、今までのたくさんの思い出や、おばけの気持ちが沢山込められているのだろうなと感じます。
朝日が昇っていく中、自分が消えてしまうかもしれないと感じながらも必死にケーキを運ぶおばけは、とても切なく物語に引き込まれます。
次のページには文字が一切書いてないイラストだけのページがあるのですが、その一ページがすごく切なく感じます。
そして次のページをめくるドキドキを与えてくれます。
次のページでは、朝の光の中で結婚式が行われていて、会場で大きくて素晴らしいケーキだけが見つかります。
そのあまりにもおいしそうなケーキは、すべての人に切り分けられるのですが、それを食べた人はみんなこんなにおいしいケーキは初めて食べたと驚くんです。
読んでいるほうもそのおいしさが想像を超えるほどだろうとわくわくしてしまいます。
そのケーキを口にした女の子は、そのケーキを口にした時おばけからの贈り物だと感じ涙を流すのですが、ここで彼女の思いが初めて明かされるんです。
そのお化けが自分の小さいころに亡くなっていた父親だという事。
初めから気づいていた事。
最後の最後に彼女の気持ちを明かすにくい演出が、絵本と思えないほどです。
対象年齢について
少しお話としては、難しいというか、考えさせられる部分があったりして、小さい子供たちには悲しいお話に聞こえるかもしれませんが、小学生くらいのお子さんと一緒に読んで考える時間を持つこともいいのではないかと思います。
どんな人におすすめ?
子供にももちろんおすすめですが、大人にも一緒に読んでもらって一緒にお話について考えたりする時間を持ってもらうのもいいかなと思います。
それができるいい絵本だと思いますし、人によってさまざまな感じ方ができるのでいろんな楽しみ方が見えてくる絵本だと思います。
まとめ
数多くの絵本の中で、子供に読み聞かせるにはどのような絵本を選ぶべきか悩んでしまうこともありますが、楽しいお話や可愛い内容のものが多い中で、たまには少し難しいものをあえて選んで、少し考える時間を持つこともいいのではないかと感じます。
子育てにあたり絵本は大事です。自分にあった絵本を選びたいものですね。
他にも沢山の絵本があります。