皆さんは今話題の映画化された「空飛ぶタイヤ」をご存知ですか?
映画好きの方ならうなづいて下さると思いますが。
正直私は、最近、映画をあまり観ないので、というよりは観る余裕と時間が無いので最初の頃は全く知りませんでした。
この題名を目にした時に、正直なところかつて大ヒットしたピクサーの感動のアニメ超大作「カールじいさんの空飛ぶ家」の様なファンタジー系のストーリーなのかな?
と想像していました。
しかし、色々な情報が入るにつれて、この「空飛ぶタイヤ」という題名に込められた意図や作者の言いたい事等を考えてみたところ、
ナイスネーミング!と心の中で思わず一人で相槌を打ってしまいました。
要するにこの映画は、池井戸潤さんの経済小説を元にした三菱自動車のリコール隠し事件をモチーフにした奥深い背景がバックボーンにある映画なのです。
ところで、池井戸潤さんの作品だとこちらも有名です。
社会問題を取り上げているので決してファンジーストーリーでも何でもありませんでした。
しかし、ふと考えてみたところ、この題名付けに関わったスタッフの方々はすごいなーと個人的に思いました。
映画の題名が、いかにも「三菱事件」や「三菱自動車リコール隠し事件の真実」等々。
まあこれらは極端すぎではありますが、これではおもーくディープな印象で、
観る前から心して観ようと構えてしまうので、きっと疲れ果ててしまうだろうなと思ったからです。
内容は深い事を取り上げていても、この「空飛ぶタイヤ」であれば、「え!?何なの?なんの話し?」となる人もいるはずです。
私的にはこの映画の題名で大正解なのでは?と思います。
そんな「空飛ぶタイヤ」を細かくチェックしてみたいと思います。
空飛ぶタイヤの実話との違いは?
「空飛ぶタイヤ」の下地になっているのは、
2000年の年に発覚した三菱自動車の「リコール隠し事件」という、
企業として、そして世間的に知名度が高く信頼度の高い大企業という立場においては決してあってはならない行為を行った三菱自動車に焦点を当てています。
ただ、隠しただけ。
それでも株式として成り立っている社会的知名度のある企業がやらかしては絶対的に許されない行為です。
国産車と言えば、世界からもとて信頼をされている車です。
日本製品のクオリティの高さは世界的に見ても有名ですよね?
国産品は、安全性の高さが評価をされている信頼をおけるアイテムです。
消費者は好みはあるにせよ、企業イメージや好み、そして日本の自動車会社というブランドを信用して高額の買い物をする訳です。
そんな罪もない一般人の消費者を企業が騙す訳ですから、怒りを通り越してデモでもおこしたい位の憎しみがこみ上げてきます。
そして、問題はリコール問題を隠し続けた事も勿論ですが、この行為により尊い人の命が失われた事です。
自動車の欠陥が見つかると、企業はそれを公表してリコールをしなければなりません。
しかしリコールせず、ひた隠しにすれば、対象車の購入者は何も知らぬままでその危険な車に乗り続ける訳です。
その当時、三菱自動車はとても大きなシェアを誇っていました。
若者に人気の車種も出回っていました。
にもかかわらず・・です。
その結果、三菱自動車製の自動車が多くの事故を引き起こしました。
当の三菱自動車は、何年にも渡り、隠し続けた事で収集が付かなくなります。
そして、無実の加害者を悪者に仕立て上げたのです。
この話しを聞くと、その企業に勤め日々会社の為に懸命に働く社員の方々が哀れに思えてきます。
一部の腹黒い上層部によって命令をされ、この様な大事件に発展しているかもしれず、
大企業だからといって信頼してよいのかもわからなくなりますね。
そういう事が起こると、その企業全てが腹黒いブラック企業に見えてきてしまう人の深層心理。
この「空飛ぶタイヤ」は、ストーリーの全体像としては実話に沿った作りになっています。
細部の要所要所や事件の細かい設定等は変えている部分があります。
少し取り上げてみましょう。
【違い1】リコール発覚までの時系列の違い
このリコールが発覚したのは、内部告発による事が発端です。
いつの時代にも大企業の言いなりにならずに正常な心を持つまっとうな人間は存在します。
実話の流れは、下の通りです。
(実話)2000年 内部告発。
最初のリコール発覚→2002年 神奈川県内で対象車による死亡事故発生→2004年 トラック・バス部門でリコール隠しの事実が発覚。これが2度目のリコール隠しであった。
(空飛ぶタイヤの劇中)事故が発生する→内部告発→リコール隠しが発覚する。
実際は数年ごしの事柄ですが、劇中では数か月の設定となっています。
【違い2】リコール発覚後のストーリー展開
キャスト設定の細かな部分に多少の違いが見られます。
しかし、大筋のストーリー展開は割と実話に忠実に映画が作られています。
色々と調べてみると、結局、土台はノンフィクションであり物語りの様にうまく丸く収まる的な人造的な流れにはいかないのが、現実の世界での出来事なのです。
劇中では、加害者側も最後にはハッピーとまではいかなくとも、未来の明るい道筋が見えた形で終息いています。
しかし、ノンフィクションの世界では違います。
(実話)「空飛ぶタイヤ」と事故を一言で表現しているように、
実話は、加害者側の車(三菱自動車製リコール対象車)のトラックから走行中にタイヤが脱輪をします。
そのタイヤが被害者家族が乗車していた車と接触をし大事故を引き起こして、乗車していた若い母親が亡くなりました。
この際、被害者の車は定期点検としては全く問題が無く通常通りに使用していました。
結局、原因は三菱のリコール隠しによる欠陥が事故を引き起こした訳です。
被害者の男性は、その事を訴えましたが、
メーカー側(三菱自)は、責任を被害者になすり付け整備不良としたのです。
この加害者に仕立てられた男性は運送会社の社長でした。
この運送会社は、廃業となりました。
罪滅ぼし的に三菱自動車が支援を続けましたが、2016年では三菱自動車が筆頭株主となっています。
リコール発覚するまで、加害者の男性は誹謗中傷をされ続けたそうです。
(空飛ぶタイヤの劇中)加害者は社長ではなく、赤松運送(劇中設定)の若い男性社員(キャスト:長瀬智也)という設定になっています。
空飛ぶタイヤの映画のキャスト
キャストの一覧を見てみると、何気にそうそうたるメンバーの名前がしるされていて驚きました。
今、旬の俳優さんがさくたん登場しています。
加害者男性:赤松運送社員の赤松徳郎(長瀬智也)
赤松徳郎の妻(深田恭子)
ホープ自動車(三菱自)のカスタマー戦略課課長(ディーン・フジオカ)
ホープ銀行調査役の井崎一亮(高橋一生)
ホープ自動車常務取締役・狩野威(岸部一徳)
赤松運送の専務・宮代直吉役(笹野高史)
港北中央署刑事・高幡真治(寺脇康文)
週刊潮流記者・榎本優子(小池栄子)
等々。
その他のチョイ役、友情出演などのキャストも超豪華です!
最初は興味が無かったりしてもキャストを見ると思わず観たくなってしまう映画です。
空飛ぶタイヤの公開日程も紹介!
さて、重要な「空飛ぶタイヤ」の公開日程です。
これが一番重要ですよね!
気になる公開日は、だいぶ先になりますが、2018年6月15日です!
公開日まで待ちきれない程長いですけど、楽しみに待ちましょう!
まとめ
ところどころ脚色はありますが、この「空飛ぶタイヤ」は、実話に忠実に沿ったストーリーが描かれています。
リコール隠し問題を知っている方はたくさんいらっしゃると思いますので、
事件の事を思い起こしながら、観ていただければ心に響くものがあると思います。
大きな事件も時がたてば人間の記憶から失われていきます。
この様に映画化される事によって、人々の記憶を甦らせ、重大事件が風化してしまわないように観る方ご自身で色々考える事もとても大切だと思います。
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